今回は前回に引き続き、レンジフードのダクトのお話です。
「またかよ」という感じですが、今回はダクト本体ではなく、ダクトに巻き付ける断熱材についてのお話をさせてください。
リノベーションの現場でキッチン周囲の天井を剥がすと、驚くような光景を目にすることがあります。
断熱材が隙間だらけだったり、用途が異なるものが使われていたり、そもそも巻かれていなかったり。
クロこのあたりは残念なことに、施工会社の知識不足や職人さんへの伝達ミスでよくあることなんですよね…
とはいえ、プロならちゃんとしてほしいところです。
レンジフードダクトに使う断熱材の定義
具体的な断熱材の紹介に進む前に、まずは定義のお話を。
東京消防庁の規定により、レンジフードの排気ダクトに使う断熱材、ここでは特定不燃材料は以下のように定義されています。
第三条の二 調理を目的として使用するレンジ、フライヤー等及び当該設備に附属する設備(以下「厨房設備」という。)の位置及び構造は、次に掲げる基準によらなければならない。
二 厨房設備に附属する天蓋及び排気ダクト(以下「排気ダクト等」という。)の位置及び構造は、次によること。
ハ 排気ダクト等は、可燃性の部分から十センチメートル以上の距離を保つこと。ただし、金属以外の特定不燃材料で有効に被覆する部分については、この限りでない。
⒡ 条例第3条の2第1項第2号ハに規定する「金属以外の特定不燃材料で有効に被覆する部分」と
は、可燃性の部分(別図第2-4その1参照)を厚さ5mm以上の特定不燃材料で被覆し(隠ぺい部
分は除く。)50mm以上とする部分並びに排気ダクトにロックウール保温材、グラスウール保温材(JIS
A 9504によるもの)若しくはけい酸カルシウム保温材又はこれと同等以上の特定不燃材料で、厚
さ50mm以上で隙間なく被覆する部分又はこれと同等以上の安全性を確保できる措置を講じた部分をい
う。引用元:東京消防庁



少し分かりにくいのでまとめると、排気ダクトと可燃物の距離は100㎜以上離すことが基本。
ですが、次の条件においては100㎜未満とすることができます。
①50㎜以上の特定不燃材料で排気ダクトを被覆する。
②可燃性の部分を5㎜以上の特定不燃材料で被覆し、かつ50㎜以上離すこと
イメージとしては下図になりますね。


ここで最も重要となるのが「50㎜以上の特定不燃材料で排気ダクトを被覆する。」という部分です。
レンジフードに使われる換気扇のダクトは一般的に150㎜あります。
これに50㎜の不燃材を巻き付けるとなると150+50+50で合計250㎜となるわけです。



ただでさえ天井高を確保するために狭くなりがちな天井裏。
私の会社は性能重視でスパイラルダクトを使っていて施工の自由度制限もある上、そこにこの断熱材の厚みが加わると、正直大変です…
断熱材の種類と比較
こうした制限や不満を解消するため、弊社では様々な断熱材を使用しています。
ここでは主に使用している断熱材を4種類紹介します。
ニチアス:セラカバー


おそらくレンジフードダクトに使われる断熱材の中で、最もポピュラーな商品ではないでしょうか。
わずか20㎜の厚さでロックウール50㎜と同等以上の性能を発揮する優秀な部材です。
また、表面にはアルミガラスクロスといわれる素材が貼り付けてあり、これのテープをはがして取り付けるだけでのワンタッチ施工が可能。



弊社でも使用率が高い商品です。
90L、45Lに対応したエルボ用のワンタッチ断熱材が用意されているところも良いですね。
ニチアス:MGマイティロールALK


続いてもニチアスの製品です。
こちらはロール状の製品となっており、必要分を寸断した後、巻き付け、テープ仕上げと施工するため少し手間がかかります。
また、厚みは消防庁の規定をクリアするための50㎜の規格を選ぶ必要があり、ダクトスペースは大きくとってしまいます。



コスト面ではセラカバーより抑えることができます。
天井裏のスペース制限がなく、大量に使う場合の選択肢ですね。
マグ・イゾベール:U-SLIM


こちらはグラスウール系の断熱材メーカーであるマグ・イゾベールのユースリムという製品です。
グラスウールの軽量さとロックウールと同等の耐火性を兼ね備えた断熱材となっております。
厚み20㎜とワンタッチ施工に対応しているところもセラカバー同様ですね。



明らかにセラカバーを意識した製品ですね。
それぞれ一長一短ありますが、こちらは軽量なため取り回しがしやすい印象です。
エスコ:エスエスプレミア


最後に紹介するのがエスコというメーカーのエスエスプレミアという商品です。
こちらは正直聞きなじみがない方も多いのではないでしょうか。
この商品の特徴は何といっても、その薄さです。
なんとわずか5㎜の厚さでロックウール50㎜と同等の性能を発揮するという優秀さです。



セラカバーやU-SLIMの約4分の1の厚みとなっており、現在流通している中だと最も薄いレンジフードダクト用の断熱材といえますね。
ネックは価格面で、流通量の問題なのでしょうが正直かなり高価です。


本記事で紹介している内容は、一般的な基準に基づいたものです。
しかし、細かな規定は、お住まいの地域(自治体)や建物の構造によって異なる場合があります。
施工前には現場を管轄する市区町村や消防署へ、計画している仕様が適合しているか確認してください。
まとめ
今回は、レンジフードダクトに使われる断熱材、その定義や実際の商品を紹介してきました。
いろいろと述べましたが、特に「断熱材の厚み」という点は意識してほしいです。
非常に地味な部分ではありますが、天井裏の省スペース化には大きく貢献してくれるためです。



断熱材は一見似たような商品も多く、おろそかにされがちな部分です。
ですが「どれでも同じ」ではなく「なぜそれを選ぶのか」その根拠を持つことが、プロの誠実さだと考えています。




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