レンジフードの排気ダクトについて

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いきなりですが、皆さんのご自宅のキッチンにある換気扇…の中にあるダクト。
きちんと施工されていますか?

料理をする際には必ず使用しているであろう換気扇、建築資材でいうところのレンジフード部分。
実は、レンジフード本体の性能以上に大切なのが、天井裏を通っている排気ダクトと施工方法です。
ここの品質が疎かになっていると、将来的な火災リスクや、住宅の断熱性能の低下を招きます。

今回は、意外と知られていないダクトの種類、私が必ず推奨している「断熱施工」について深掘りしていきます。

排気ダクトの種類

一般的に使われるダクトには、大きく分けて以下の3種類があります。

  • アルミフレキシブルダクト:一般的にはアルミフレキ、蛇腹ダクトなどとも呼ばれる排気ダクトです。最も安価で自在に曲げたり伸ばしたりできます。そのため施工が簡単でDIYや簡易なリフォーム等で多用されます。しかし、内面が凸凹しており、内部に汚れや油が溜まりやすいのが特徴です。
  • 鉄フレキシブルダクト:鉄フレキ、スチールフレキなどと呼ばれる排気ダクトです。こちらは鉄製のため、アルミフレキよりは頑丈です。しかし、内面の凸凹は同じため、やはり内部への汚れや油の付着は避けられません。
  • 亜鉛メッキ鋼板スパイラルダクト:帯状の金属板を螺旋状に巻き付けて生産された円筒形のダクトです。アルミフレキや鉄フレキと異なり、折り曲げたり伸ばしたりして使用することはできません。また切断にはグラインダーが必須ですし、曲がり部分には専用の継手を使用する必要があり資材コストはもちろん、人工代も高くつきます。しかし、内面が非常に滑らかで空気抵抗も少なく、汚れも付着しにくいです。
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性能だけでいえばスパイラルダクト一択です。
しかし施工費を抑えるため、アルミフレキや鉄フレキを使用している現場が多いのも確かです。

東京都ではアルミフレキが使用禁止?

実は東京都では「東京都火災予防条例」により、レンジフードの排気ダクトに「一般的なアルミフレキ(蛇腹ダクト)」を使用することは事実上禁止されています。
すべてを引用すると長くなってしまうため、排気ダクトの性能に関する部分を一部抜粋したものが下記です。

第三条の二 調理を目的として使用するレンジ、フライヤー等及び当該設備に附属する設備(以下「ちゆう房設備」という。)の位置及び構造は、次に掲げる基準によらなければならない。
二 ちゆう房設備に附属する天がい及び排気ダクト(以下「排気ダクト等」という。)の位置及び構造は、次によること。
イ 排気ダクト等は、耐食性を有する鋼板又はこれと同等以上の強度を有する特定不燃材料で造ること。
ハ 排気ダクト等は、可燃性の部分から十センチメートル以上の距離を保つこと。ただし、金属以外の特定不燃材料で有効に被覆する部分については、この限りでない。
ニ 排気ダクトは、排気が十分に行える能力を有すること。

ト 排気ダクトは、曲がり及び立下りの箇所を極力少なくし、内面を滑らかに仕上げること。

引用元:東京都 火災予防条例

上記でいう「耐食性を有する鋼板又はこれと同等以上の強度を有する特定不燃材料」とは下記のとおりです。

表 2 (18,000kcal/H 以下の厨房設備に附属する排気ダクト板厚)
円形ダクトの直径300㎜以下の場合:亜鉛鉄板0.5以上

引用元:厨房設備に附属する円形排気ダクト板厚に係る火災予防条例準則の運用について(通知)

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小難しい条文やらが続いてしまって申し訳ありません。
次の項目で簡単に解説します…

結局、排気ダクトに蛇腹ダクトは使えるの?

結論から申し上げますと「使用を推奨するものではない」といったところでしょうか。
使っている業者もいれば使っていない業者もいて、混沌としているのが現状です。
推奨しない理由は下記の3つが挙げられます。

理由一つ目、先程の東京都の火災予防条例に記載された一文「内面を滑らかに仕上げること。」です。
アルミフレキや鉄フレキといった蛇腹状のダクトは内面が凸凹しています。
つまりこの一文の規定を満たしていないと解釈することができます。

次に、単純に汚れや油が火災の原因になり、危険があるためです。
アルミフレキや鉄フレキの概要を説明した際にも案内した通り、換気扇の排気を通して蛇腹の溝には油汚れが蓄積していきます。
これが将来的な火災リスクを招くといわれているためです。

蛇腹ダクトに蓄積した油汚れ
引用元:東京ガス

最後に、また先程の東京都の火災予防条例からの抜粋ですが「耐食性を有する鋼板又はこれと同等以上の強度を有する特定不燃材料で造る」の一文です。
これは明確な基準があり、家庭用ですとダクトの直径は300㎜以下が一般的です。
これに使用すべき円形排気ダクトの板厚は0.5㎜以上と総務省消防庁により定められています。
アルミフレキ等の蛇腹ダクトは板厚がこれに満たないことも多いため、基準を満たしていません。

メーカーにより異なると思いますが、鉄フレキは板厚が0.5㎜以上あるものも存在しています。
そのため材質的には問題ない可能性がありますが、いずれにしても「内面を滑らかに仕上げること」はできていないため、個人的には排気ダクトとしては非推奨の製品です。

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火災予防条例の第三条の二自体には明確な罰則が定められていません。しかし、火災を未然に防ぎリスクを減らすためにも、ここはコストをかけて施工したいところです。
ご自身の不動産建設時には、必ず排気ダクトの施工内容を確認しましょう。

排気ダクトには「不燃性断熱材」を使用するべき

ダクト自体を正しく選んだら終わり…ではありません。
その次に欠かせないのが「不燃性断熱材」の巻き付けです。
これには大きく分けて2つの役割があります。

防火措置

一つ目は火災の延焼防止です。
ダクト内の油に引火した場合、ダクト自体は不燃であっても、その熱が天井裏の木材を炭化させ発火させる「伝熱火災」のリスクがあります。
断熱材を巻くことで、熱を遮断し延焼防ぐ壁となってくれます。

断熱性、気密性の向上

排気ダクトは屋内から屋外へ排気を行う役割を持っているため、当然ながら屋外と直結しています。
そのダクト内はこれまた当然ながら、外気と同じ…つまりは熱のロスが発生しています。
これにより断熱性が損なわれるだけではなく、冬場などは外の冷たい空気がダクト内を通ると、暖かい室内との温度差でダクトの表面に水滴がつきます。
これを「ダクトが泣く」と呼びますが、これが繰り返されるとカビの発生を招いたりします。

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換気扇の中の排気ダクトという目に入りにくい場所であるが故に、見落としがちな部分です。
ですが、こうした細かい箇所に目を向けることで快適な住環境を作れると考えてます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
住宅のキッチン選びでは、まずデザインや機能に目が向きがちです。
ですが「レンジフード内の排気ダクト」にもぜひ目を向けてください。

ダクトは壁の裏に隠れてしまうため、つい優先順位を下げてしまいがちです。
しかし、適切な施工と高品質な部材の選択は、万が一の際の火災予防(安全性)に直結し、さらには住まい全体の断熱性・気密性を高めるという大きな役割を担っています。

「目に見えない場所」にコストと情熱をかけること。それこそが、10年、20年と続く安全で快適な暮らしを支える最大の秘訣であり、長期的なメンテナンスコストを抑える賢明な投資となります。

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